嘘八百

国擬人化っぽいものを置いてあります。「始めに」は必読。

覚めろ夢

0   0

もしも世界が日本になったら
趣旨⇒ギャグ
※未来永劫未完



    

「えー、皆様のお陰で、世界を統一する事が出来ました。この良き日に長話もお疲れになると思いますので、これを挨拶としたいと思います。どうかこれからもよろしくお願いします」
 まるで気の抜けたサイダーのように、場が盛り上がる。なんでこんな事になったのか分からないが、何故か、自分は全ての国々の前で挨拶をしていた。否、し終わった。
 これは夢だ。そうに違いない。力のない私が、先頭を切ることの出来ない私が、そんな現実に至るはずがないのだ。本当の自分は、ぬくぬくと布団の中で幸せそうに寝ているに違いない。
 違う違う。こんな夢を見るぐらいだからうなされている筈だ。
「ひより!それだけでは話したりないんじゃないのかい?」
 開場から声が上がった。そちらを見ると、いまや見慣れた人物が、不機嫌そうに立っているのだった。
現実で服従していた時に見なかった顔だ。
「これから俺達はどうすればいいんだい?」
 そう言われても、と言うのが正直な感想だが。目が覚めない以上ここから逃げ出せるものでもない。けれど私はなんとしても逃げ出したかった。
「しばらくは、お互い相手を害さないように自由にしていて下さい」
 突然、静粛さが訪れる。それも、私が嫌な類のものだ。予期する事態は果たして望みとは程遠い。
「そうではないんだよひより」
「リーダーなんだからはっきり決めとけよ」
「これだから箱入りは」
「世間知らず」
「まとめる力ねんじゃね?」
「困りますよ」
「お前には勤まんないんだぜ」
 本当、穴があったらそこへ入って、なおかつ掘り進めて、皆が視界に入らない静かな世界に旅立ちたい。夢とはなんと不都合で身勝手なものなのだろうか。運の悪い自分を恨みながらも、策を練る。
「では、申し訳ありませんが私の法律に従ってもらいます。ではまず、私の教育を受けてください」

 ここは日ノ本学校。世界の国々、否、名の語尾に州がつく事となった各地域達が、ひよりを学ぶために建てられた学校である。ひよりが丹精こめて創った学び舎は、耐震強度ばっちり、完璧な作りである。
 朝早く門をくぐるのは、開校を楽しみにしていたアジア組。
「わー、流石ひよりさん!建物すごーい」
「この技術を教えて欲しいなー」
「きっと教えてくれるよ。だってひよりさんだもの」
 騒ぎながら、校内へ入っていく。見るもの見るものアジア組の人たちにとっては新鮮なものだ。物珍しいものをみる度、感嘆の声が上がった。
 教室についてみると、すでに人が居た。
 見てみれば、ニュージーランド等の朝の早い元国々の面々だった。しかし、それとこれを関連つけて考えないアジア組は、一番に来る事を心の片隅で決めていたので、落胆していた。
 しかし、中に入るとそれはどこかにすっ飛んだ。教壇には日本の姿があった。
「ひよりさん!おはようございます」
「おはようございます皆さん。名札を立てておいたので、それぞれ席についてください」
アジア組はひよりに従い、席についた。その期待の篭った目といったら、ひよりを恐縮させるのに十分な威力だ。事実、恐縮したひよりは誤魔化すように目を伏せた。
 ひよりは覚めない夢にいい加減気味悪さを憶えていた。結局のところ、あれから何週間か経っている。とりあえず、州となってしまった国々の方々には自治をお願いしておいた。だから、今までとそこまでは変わらないと胸をなでおろしていたが、このままなら、きっと問題が出てくるはずだ。と、ついそんな事を考えてしまって、すぐそれを掻き消す。いけないいけない。これは夢なんだから覚める事だけを考えればいいのだ。
 考えを巡りに巡らせている内に、とうとうチャイムが鳴り出す。
「ひよりさん!」
「なんですか」
「まだ西洋の州の奴等が来てません!」
「ああ、西洋の方々は午後に来てもらう事にしてます」
「ええー!私達午前中だけですか」
「はい。栞に書いておきましたので、そちらをお読みになってください」
随分前に渡しておいたのに、読んでいないのか。なんだか悲しい気持ちになったが、ちゃんと持っていたのかすぐ取り出して読み始めていたので、すこし救われた心地だ。
「他の皆さんも栞はよく読んでおいてください。私の文化の要約も書かれていますので、この日ノ本学校に通う上で困った時に読まれると良いです。では、朝の学活を始めます。起立!」
号令をかけた後にしまったと思ったが、後の祭りだ。私に侵略されてしまった地域の方々は覚えていたのかちゃんとその場で立っているし、他の州達も栞を読んで来たのかちゃんと立っている。しかし、訳がわからないと顔に出して、未だ席に座っている州はいた。
「すみません。まず先に、この学校の規律について触れておきましょう。皆さん申し訳ありませんが、もう一度席について下さい」
なんだか歯切りが悪いが仕方がない。とりあえず規律についてしっかりと憶えてもらおう。

「規律!礼!」
「さようならー」
まさか、時間いっぱい規律の説明に使うとは思っても見なかった。話すごとに質問が飛ぶので、はっきり言うと疲れた。それにしても、常識を知らない人たちだった。いや、もしかして今まで世界の常識を知らなかったのは私かもしれない。これをカルチャーショックというのだろうか。
それはそれとして、アジアの方々は私の言うことに耳を傾けてくれて、話していて気持ちよかったので良かったということにしとこう。
なんだか夢だとしてもいい気がしてきた。こうなったのも運命だ。覚めるまではとりあえず、役目を真っ当しよう。
 


2007/02/26~

「自動車の税を上げ、自動車の売買にも税を高く設けます。交通機関の開発を急ぎ、交通機関を国家のものとして、運賃は100円以下に統一」

人々は自らの土地を離れずくらすようになった



「いいかげん目覚めなさい!」
 言ってやるとも、今日こそは言ってやる!
「いつまでも私のせいにして、悪いこと何でも私に押し付けて、それで、あなたはどうなるんです。そんな事は子供と同じで、その場しのぎにしかなりませんよ。そんなことでは立派になんかなれやしない。今のあなたを大切にして、次の成長に繋げるよう努力なさい。私の国旗なんか、そんな布切れを燃やしてる暇があったなら!」
 奴は顔を真っ赤にさせた。拳を振り上げるが、私を殴るなど出来やしない。いい気味だ。武力を持つとは、権力を持つとは、こういうことのだと改めて実感する。それとともに、なんだか悲しくなった。奴は拳を下げて、それでもひたすらに手のひらを握っていた。奴らしくない。
 奴は、呟いた。
「知らないのだ」
 こちらに目も向けず言った。
「その場しのぎ。俺の方針!」
 私と向き合い直した彼は、恥などで顔を赤くはさせていない。
「怖いのだ!皆!怖いけど俺死ねないのだ!生きろって体がうずくのだ!だけど、だけど、やっぱり怖いし、だけど、怖いのどうすればいいかわからなくて、考えて、俺ある時気付いたのだ、ご機嫌とれば怖いことは無いのだ!」
 目は定まっていない、鼻の穴を大きくし、息を荒げている。
「俺にとって画期的だったのだ。そうすれば俺、ほら!今ここでお前の目の前にいるのだ!そうしたお陰だ、だってそれで生きられたのだ!俺は間違ってない。間違ってない、けど!」
 奴は泣いた。
「惨めなのだ。周りに許されなければ存在しない国なのだ、俺は。許されるために何だってするの、やっぱり惨めなのだ。全く立派じゃないのだ。はけ口をいつも求めて、探し出してきたのだ」
 その言葉を聞いて、ふと彼の侮蔑の視線や昔の風習を思い出した。
「儒教はよかったのだ。この状況に満足できる。兄貴は兄貴だから偉い、俺は兄貴の弟だから偉い兄貴の言うことをきかなきゃいけない」
 彼は私に指差して言った。
「お前は弟!だから、兄である俺よりは下であるに決まってる!」

「現実は違ったのだ。お前は弟の癖に、たいした国だったのだ。何時行っても、例えばお前の国は綺麗だったのだ。俺の庭があんなに汚いのに、お前の水路は綺麗な水が流れてたのだ。お前は良い物もいっぱい持ってたのだ。俺は適当に見繕って、もらいに行ったっけ」

「けど、お前は弟だ、俺より立派なはずが無いのだ。俺はいつも兄貴に教えを貰ってたのだ、偉大なる兄貴の教えを。お前はその偉大な教えを受けられなかった可哀相な弟なのだ。だから俺の方が立派なのだ。仏なんて間違ってる、キリストも間違ってる、上のものは皆敬うべきで、それはつまり、下のものは皆見下していいのだ」

「冬には冷たく乾いた風の吹くあの庭に、何年も居座ったのだ。俺はそこから離れられなかったのだ。俺は悟ったのだ。この身が何に染まろうとも、この庭にいる限り俺は俺でしかないのだと。兄貴には広大な庭があったのだ。弟のお前の庭には豊かな森と季節と、海があったのだ。俺には兄貴と縁の切れることの無い、金すら出ない、禿山しかないこの半島しかなかったのだ。もし俺が兄貴の子供になったとしても兄貴にはなれないだろうし、実際お前になろうとしたところで、お前なんかにはなれなかったのだ。だから悟ったのだ。それに、死ななかったのだ。その場しのぎは俺の教訓になったのだ。俺は生きてるのだ、だから俺は正解なのだ、正しいのだ、立派なのだ」
「あなた」
 何をいったらいいか分からなかった。ので。
「思ったより、いろいろ考えてたんですね」
 奴はまた顔を赤くさせた。
「お前はやっぱり俺を馬鹿にしてるのだ!兄を馬鹿にするなんて、倫理がなってないのだ!賠償しる!」
「だから、しる、ではなくしろ、です」
「賠償しろ賠償しろ賠償しろ!」
「あなたの兄貴とやらに今まで多額の賠償金を献上してきたので、あなたの取り分までありません。それに、これからはあなたもいまや私の子供ですから、賠償金にはあなたの財布から集めた金も含まれますよ」
「うー!」
「ほら、それが子供なんです、うなるだけで何も出来やしない。自分の頭で考えてないで、責任も取らず、何もしようとしないからそうなるんですよ、甘ったれ」
「甘ったれじゃない!」
「ほお。威勢がいい。感心感心」
「だから馬鹿にするな!」
「その威勢のよさを買って、仕事でも与えてみましょうか」
Category :

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://uso800horahuki.blog108.fc2.com/tb.php/56-f8675341
該当の記事は見つかりませんでした。